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腹圧性尿失禁
腹圧性尿失禁について
妊娠中や出産後の急な咳・くしゃみで思わず漏れてしまった経験がある方は多いのではないでしょうか。女性の尿が漏れてしまう(尿失禁)は主に3つのタイプに分類されます。
- ① 腹圧性尿失禁:咳やくしゃみ・運動など腹圧をかけた時にもれてしまう
- ② 切迫性尿失禁:急な尿意がありトイレに行くまでにもれてしまう
- ③ 混合性尿失禁:腹圧性と切迫性の両方がある
その中でも腹圧性尿失禁は最も多く、40歳の女性の40%が一度は経験するといわれております。腹圧性尿失禁は尿道を締める筋肉がゆるむことが原因で起こると考えられています。
お家でできる腹圧性尿失禁の治療
骨盤底筋運動
骨盤の緩んだ筋肉をもう一度鍛える目的で行う体操です。1日10回5セットを3か月間続けることが大切です。
当院では看護師による骨盤底筋運動の指導を行っております。運動を続けることが難しい、やり方がわからない方は気軽にご相談ください。
減量
女性の腹圧性尿失禁を経験される多くは妊娠・出産ではないでしょうか。これは妊娠による腹圧の上昇と出産による骨盤底筋の緩みが原因と考えられております。多くの場合は6ヶ月程度で改善いたしますが、40歳を過ぎたころから再び失禁を起こすようになります。
このような時には自分の「体重」を見直してみましょう。特に5年以内に体重が増えているかたは要注意です。適正な体重から大きく外れている方はまずは減量から始めると効果的です。
適正体重の計算方法
適正体重(Kg)=身長(m)×身長(m)×22
(例:153㎝の方であれば、1.53×1.53×22=51.5Kgが理想体重となります)
腹圧性尿失禁に対する手術療法
重症な尿失禁に対する尿道スリング手術(TVT手術)
腹圧性尿失禁に悩んでおられる方には、まずは骨盤底筋運動と減量を試していただきますが、運動が続けられない方や続けても効果が出ないという方は大勢おられます。その場合は尿道にテープをかけて筋肉を補強する尿道スリング手術(TVT手術 TOT手術)をお勧めします。手術時間は約20分程度(入院4日間)の手術ですので体への負担が少なく、小さな傷で行うことができます。
1995年頃よりヨーロッパで始まったTVT手術はこれまでに100万人以上に施行され、術後7年にて治癒率81.3% 改善率16.3%という優れた成績が報告されております。特に重症の腹圧性尿失禁に効果があるとされており、失禁量の多い方や再手術のかたにはTVT手術をお勧めいたします。
ただTVT手術のテープを通すときに腸や膀胱、血管などの周囲組織を刺してしまう合併症が多く報告されたことから、TVT手術を改良したTOT手術がフランスで開始されました。治療成績はTVT手術とTOT手術はほぼ同じと考えられておりますが、TVT手術のほうが重症の尿失禁の改善効果が高い一方で、TOT手術は安全性に優れていると考えられております。
当院ではどちらの術式でも施行できますので、尿失禁の程度や膀胱・尿道機能検査の結果をもとにどちらの治療が適しているか相談させていただきます。
TVT手術とTOT手術の比較
TVT手術 | TOT手術 | |
手術時間 | 20分~30分 | 15~20分 |
お勧めのかた | 重症の尿失禁 2回目の手術 |
軽症の尿失禁 |
お勧めしないかた | 下腹部の手術をされたことがある方 | 重症の尿失禁 ソヘイ部の手術をされたことがあるかた |